両角研究室では、ユーザーエクスペリエンスデザインやインタラクションデザインを研究しています。2008年からアプリケーション開発技術の習得と遠隔地の人々と直接会わなくても議論を行なえるアプリケーションの研究、開発を始めました。そして、開発されたのがDivergeです。
Diverge開発のきっかけ
自分たちが使いたいモノは自分たちで作る。
日本デザイン学会情報デザイン研究部会(InfoD)の人たちは、コミュニケーションツールとしてメーリングリストを利用しています。メーリングリストでは、イベント開催の告知や次回の研究会の議題などを決めていました。しかし、メーリングリストではなかなか突っ込んだ議論に発展することがありませんでした。
そこで、ちゃんとした議論が行えるツールがほしいという思いから自分たちが使いたいモノは自分たちで作ろうと考え、InfoD WebApplication Projectを立ち上げました。研究、開発は両角研究室を中心に、非対面的議論(メールや電子掲示板の議論のように、遠隔地の人々と直接会わないで議論を行なうこと)を支援するアプリケーションの研究、開発を始めました。
非対面で議論を成立させるためには
付箋紙をメタファーに利用しました。
まずは、InfoDのメンバーから提案された対面的の議論で有効なツールの付箋紙に着目しました。付箋紙の特徴は位置関係(位置、距離)によって相互関係を表すことができ、その位置関係を柔軟に変えることができます。その付箋紙をメタファーとして利用することで非対面的議論を支援することができるのではと考えました。

非対面的議論に必要な要素を抽出します。
次に、非対面的議論に必要な要素を抽出するために擬似的に非対面的な状況を作り出し、付箋紙を用いてテーブルの上に貼りながら実際に議論を行なうペーパープロトタイピングを繰り返しました。そこから、非対面的議論に必要な要素を抽出し、デザイン提案を行ないました。
検証結果と考察
Divergeを用いて検証を行ないました。
デザイン提案を元に仕様検討を行ない、Divergeを開発しました。そして、実際にDivergeを用いて検証を行ないました。その結果は以下のとおりです。

フセンによる空間的議論は有効であると考えます。
テーマフセンと重ね貼りによって相互関係の理解がしやすくなったため、意見の書き込みが増え議論が活発に行われました。
テーマの範囲は有効であると考えます。
テーマの範囲で色分けされることによって、どのフセン・テーマフセンに対しての意見なのか、全く別の意見なのかを理解することができました。また、複数の議論が乱立しても議論の広がりを混乱することなく理解でき議論を行なえました。
問題点もありました。
1.途中参加者にとっては、重ね貼りだけではどこから読み始めればよいのか分からない。
2.コミュニティーとしての問題:発言の敷居が高い。
3.どの意見が結論なのか分かりづらいということと結論を導きだすことが難しい。
コミュニティとしての問題
発言の敷居を下げることで活発な議論が行えると考えます。
検証の中で、積極的に発言できる人と発言に消極的な人がいました。発言に消極的な人でも良い意見や考え方を持っているにもかかわらず発言しづらいシステムだと、活発な議論が行えずコミュニティーは衰退してしまいます。今後は、発言の敷居を下げることと意思表現をしやすい工夫を考えていきます。
議論を収束させやすくするためには
同意や合意を繰り返し議論は収束に向かっていきます。
検証では、議論の発散は活発に行われましたが結論や同意、合意が分かりづらく議論が収束に向かいませんでした。そのため、議論を収束させやすいアプリケーションにしていかなければなりません。今後は、同意や合意、結論の明示化を考えていきます。
開発メンバー
櫻田 真也 Sakurada Shinya
東北工業大学工学部デザイン工学科研究生 両角研究室所属
ペーパープロトタイピングを行い議論の特質を分析し、議論を支援する道具のあり方Divergeを提案し、検証を行い研究としてまとめました。

諏訪 悠紀 Suwa Yuki
東北工業大学大学院 工学研究科 デザイン工学専攻 両角研究室所属
DivergeのUIとプログラミングを担当しました。今後はコミュニティー面を考えた研究と機能の実装を担当します。

阿部 卓弥 Abe Takuya
東北工業大学工学部デザイン工学科4年 両角研究室所属
今後は議論を収束させやすいWebアプリケーションを開発していきます。
アドバイザー
両角 清隆 教授 Morozumi Kiyotaka
東北工業大学

堀江 政広 教員 Horie Masahiro
東北工業大学

山崎 真湖人 Yamasaki Makoto
アドビ システムズ㈱

中村 春太郎 Nakamura Shuntaro
システムエンジニア